それは、2014年の7月のこと・・・
客人からのご依頼で、「嵐山の鵜飼い(うかい)」に、お連れしました。
これが、広く世に知られる、京都・嵐山(あらしやま)の光景・・・
中央に見える、優美な半円形の山が、かの有名な「小倉山」(おぐらやま)。
この山のふもとで編さんされたのが、「小倉百人一首」。
そして、この山のふもとで栽培されたのが、「小倉大納言あずき」。
1000年の昔に、京の都の貴族たちが川遊びを楽しんだ頃と、
このあたりの自然の光景は、ほとんど変わらないままだそうですよ。
渡月橋(とげつきょう)を渡って、左に折れると・・・
右手に高級な旅館&飲食店が並びます。
しばらく歩くと、鵜飼い船の乗り場が見えてきます。
やがて、屋形船が並んでいる、乗り場に到着。
7月中旬から9月中旬まで、毎晩7時と8時に、船が出ます。
(先着順ですが、少々早めに、30分前に乗船券売り場に並べば大丈夫)
すると・・・
乗り場の横の鵜飼い船で、乗客たちに背を向けながらコソコソと、
股間に手をやって怪しげな動きをする、不審な男たちを発見・・・
(こともあろうに、いわゆる「立ち**」をしているかに見えますが・・・笑)
よ〜く見てみると、なんと!
川の中で飲み込んだ魚が、胃に落ちないで首に溜まるように、
鵜(う)の首を、ヒモで絞めているのです!(涙)
これが、決定的証拠写真!! \(゜o゜)/
しかも、鵜飼い船の船尾には、火をつける大量の薪(まき)と、
その薪を「かがり火」にして掲げるための、不気味な金属の入れ物が・・・
この船の上で、今夜、あの挙動不審な男たちの手によって、
どのようにオソロシイ行為が、行われてしまうのでしょうか・・・(涙)
(それを見て楽しむ我々の神経の方が、なおさらオソロシイのですが・・・笑)
やがて、夜7時になると、船が川岸を離れて、川の上流へ・・・
乗客の多くは、なんと外国人さんたちなんですよ。
今や、日本の「鵜飼い」は、世界的に有名なのでしょうか?(笑)
しかし、「うかい」という発音のローマ字表記は、かなり難しいはず・・・
英語で「 u 」は「ユー」だし、「 i 」は「アイ」ですからね。
例えば、僕がロンドンに住んでいた頃、「いいだ」を「iida」と書くと、
「ミスター、アイアイデァィ」と呼ばれてしまうので、困りました(涙)。
そのうち、怪しげな船が近づいてきたと思うと、
隣の船に横付けして、なんと「商売」を始めたではありませんか!
しかも、僕の大好物である、「いか焼き」の香りが、あたりに充満・・・
外国人観光客の方々も、「こ、このデリシャスそうな香りは、どの食べ物だ?」と、
興味シンシンで、きわめて真剣に、のぞき込みます(笑)。
なんと、売店専用船では、「特大吹出し手筒花火」まで販売。
こんな船の上で、花火を上げてしまっても、大丈夫なのでしょうか?
当然ながら、拙者も、ご満悦で、
大好物の「いか焼き」を入手したのでござる(笑)。
「いか焼き」で感涙にむせんでいると、突然、真横に鵜飼い船が!
外国人の方々も、「◎×△□○△□◎!!」と、
それぞれの国のお言葉で叫びながら、大興奮!!
鵜飼い船の上には、鵜と火の管理を担当する「鵜匠」さんのほか、
操船を担当する「漕ぎ手」が船首と船尾に2名で、合計3名が乗っています。
彼らの技の見事さは、まさに名人芸!
鵜匠(うしょう)さんが、鵜に付けたヒモを巧妙に操りながら、
川魚を捕らせ、鵜が魚を捕った瞬間に船に引き上げて、
首に溜まった魚を、「ペッ」と吐き出させるのです。
ただし、鵜は、何でも疑わずにそのまま飲み込もうとするので、
口から、いらない魚やカエルやオタマジャクシが出てくることも・・・
いわゆる、「鵜のみする」という言葉の語源が、これ。
「あんな男の言うことだから、何でも鵜のみしちゃダメよ」なんてね(笑)。
ちなみに、かば焼きにするとおいしい、「ウナギ」という魚がいますが、
これは、「長くてツルツルなので、鵜が飲み込むには難儀する」という意味で、
「鵜・難儀」=「う・なんぎ」=「うなぎ」と変化して命名されたそうですよ。
(乗った船の船頭さんが、教えてくれました)
お魚を、捕っても捕っても胃の中に入れてもらえず、
鵜匠さんに搾取(さくしゅ)されて終わる姿は、
まるで、世の中の労働者の姿そのもの・・・
もう、涙なしでは見られません・・・(涙)
・・・と言いたいところですが、
船の上の観客たちは、能天気な大歓声に包まれておりました(笑)。
夜空が暗くなるにつれて、
魚をおびき寄せる「かがり火」が、ますます燃え盛り、
我々の興奮も、頂点に達します・・・
あちらは、プラス「300円」を支払って、
セレブな豪華船に乗ることを選んだ、お金持ちの特等客の皆さま・・・
(とはいえ、屋根と船腹に飾りがついているだけの違いなので、
乗っている本人たちには、見えないんですよ、これが・・・笑)
「鵜飼い」も佳境に入り、鵜匠さんの表情も、乗りに乗ってきましたよ。
ちょっと何かを間違うと、転覆や大ケガなどの惨事につながりますから、
それはもう、命がけの大仕事なんですよ。
猛烈な火の粉を全身に浴びながら、懸命に鵜を操る鵜匠さんの、
なんとカッコイイこと!
がんばれ、鵜匠さん!!!
( `ー´)ノ
・・・というわけで、古式ゆかしい風雅な鵜飼いのショーが終わり、
再び船着き場に戻ってきたのは、約1時間後の8時頃でした。
舞妓さんのショーを見た時にも痛感しましたが、
伝統芸能というのは、本当に奥深くて、素晴らしいですねぇ!!
一緒に乗った気分になって、お楽しみいただけましたか?
大人1名1700円という低料金で、しかも予約不要ですから、
皆さまも、ぜひ、実際に体験してみてくださいね!
( ↑ 「鵜」の絵が無いため、「タコ」で代用いたします)