経営学概論
The Introduction to Management
飯 田 史 彦
かつて私が19年間ほど勤務した、国立大学法人・福島大学において担当していた「経営学概論」(けいえいがくがいろん)および「経営学入門」は、経済学部の1〜2年生が受講していました。また、他の学部(教育学部や行政社会学部)の学生でも、任意科目として単位を取ることができました。ここでは、私の大学教授時代の記録として、当時のシラバス(授業内容の説明文)を、そのままご紹介いたします。
《 参考: 経営学の体系 》
* 経営戦略(商品・サービスの開発・製造・提供の方法)に焦点をあてる場合
→ 経営戦略論(マーケティング論、生産管理論、広告論、市場論などを含む)
* 人的側面に焦点をあてる場合
→ 経営管理論(人事管理論、人的資源管理論、組織論、組織文化論などを含む)
* 金銭的側面に焦点をあてる場合
→ 経営財務論(企業ファイナンス論、財務管理論、証券市場論などを含む)
→ 会計学関係の諸分野全般
→ 経済学関係の諸分野のうち、ミクロ的領域(企業経済論など)
* 情報に焦点をあてる場合
→ 経営情報論(情報管理論、経営科学、情報処理論などを含む)
* 歴史的側面に焦点をあてる場合
→ 経営史(企業研究を主とする)
→ 経営学史(経営理論の歴史的変遷を主とする)
* その他、特定のテーマを掲げて、関係諸分野を包括的に扱う場合
→ 中小企業論、国際経営論、多国籍企業論、自治体経営論、NPO経営論、日本的経営論、人材採用戦略論、マーケティング・リサーチ論など、多数
これらのうち、本講義「経営学概論」では、経営学の基幹分野と言われる「経営戦略論」および「経営管理論」に関して、基礎知識の解説を中心に構成していきます。
《 授業内容 》
「企業を経営する」とは、どのような概念であり、いかなる基本原理のもとで展開される現象なのでしょうか?
そして、実際に、どのような企業間競争が行われており、いかなる組織管理が試みられているのでしょうか?
本講義では、このような問題意識のもとで、「会社」という営利組織の面白さと恐ろしさを、わかりやすく解説していきます。
講義内容としては、本学で初めて受講する経営学の講義であることを考慮し、基礎的な知識を中心としますが、最先端の知識を盛り込みながら、できるだけ「役に立つ講義内容」となるよう心がけます。したがって、実際の企業のケース・スタディを重視します。
また、講義方法としては、まだ企業社会の現実をよく知らない学生諸君にも、なるべく具体的に理解していただけるように、企業の実際の活動をレポートしたビデオプログラムなど、様々な視聴覚教材を毎回のように用いて、飯田が解説していきます。
《 授業計画 》
飯田の経営学概論は、今年度から初めて開講されます。また、企業社会に新たな動きが生じた際には、随時、内容を変更して講義に挿入します。したがって、以下の授業計画は暫定的な予定であり、諸条件を反映して随時適切に変更を加えますので、ご了承ください。
第1回・・・講義概要の説明
第2回・・・「会社」とは何か?
第3回〜第16回: 経営戦略の理論と実態
第3回・・・経営戦略論を支える諸概念
ニーズ、マーケット、プロダクト・ライフサイクル、スケール・メリット、エクスペリエンス・カーブ、プロダクト・ポートフォリオ・マトリクス、バーティカル・インテグレーションなど。
第4回・・・経営戦略論の基本原理 @ 差別化戦略
第5回・・・ A コスト・リーダーシップ戦略
第6回・・・ B 細分化戦略
第7回・・・経営戦略論の補助原理 @ 多角化戦略
第8回・・・ A ブランド戦略
第9回・・・ B その他の諸戦略(価格戦略、広告戦略など)
第10回〜第13回・・・上記内容をふまえたケース・スタディ
セブン・イレブン、ソニー、病院経営、ディズニー・リゾートなどの事例研究。
第14回〜第23回: 経営管理の理論と実態
第14回・・・経営管理の基本原理 @ 価値観論
コーポレート・カルチャーに関するE・H・シャインの理論など。
第15回・・・ A 行動科学
テイラー理論、マズロー理論、リカート理論など。
第16回・・・ B リーダーシップ論
マネジリアル・グリッド、状況適応理論など。
第17回・・・経営管理の概念と実態 @ 賃金管理
第18回・・・ A 労働時間管理
第19回・・・ B 人間関係管理
第20回・・・ C その他の諸管理
第21回〜第22回: 「日本的経営」の概念と実態
第23回〜第24回: 企業の人材採用戦略と学生の就職戦略
第25回〜第26回: 講義全体のまとめと試験対策
《テキスト・参考書》
正規のテキストは用いないで、飯田が作成した、詳細なレジュメや資料を配布します。
前半の参考書としては、M・E・ポーター『競争優位の戦略』(ダイヤモンド社、8000円)をお勧めします。(飯田ゼミナールのテキストなので、飯田ゼミの学生に見せてもらえます)
後半の参考書としては、飯田史彦『生きがいのマネジメント』(PHP文庫版)、および、飯田史彦『日本的経営の論点』(PHP新書版)を、ご参照いただけましたら幸いです。
《評価方法》
例年、450名ほどの学生が受講しており、物理的に困難であるため毎回の出席はとりませんが、出席状況を見ながら、抜き打ちレポートを行う可能性があります。
成績評価は、基本的に前期末の筆記試験の結果によりますが、講義に出席していなければ点が取れない内容の試験問題を出題しますので、ご注意ください。
《質問方法》
毎回の講義終了後を、個別の質問タイムとしますので、何か質問・相談がありましたら、お気軽に声をかけてください。
また、講義後に、経済学部棟611号室(飯田研究室)でも質問をお受けします。